暗号通貨レンディングサービスを提供しているVauldについて記載します。
Valudは世界最高のカストディサービスであるBitGoとカストディサービス契約を結んでいます。
また、世界最高の取引高を誇るBinanceとはExchangeパートナーを結んでることでも知られています。
あまり知られた会社ではないですが、注目のカストディサービスを提供している会社です。
筆者も資産分散管理の観点から資金を置いて管理しています。
実際に筆者が使用している観点からレビューしていきたいと思います。
Vauldの概要
Vauldは、2018年に設立されたレンディング会社で、本社はシンガポールにあります。
VauldのファウンダーはDarshan BathjiaとSanju Sony Kurianです
Vauldの顧客はインド人が非常に多く、彼らファウンダー自身もインド出身です。
2020年にはシンガポールからインドの仮想通貨市場にも参入するため、200万ドルもの大型資金調達も成功しています。
この時にVauldに投資したVCは仮想通貨VCとして非常に有名なパンテラ、 Coinbaseベンチャー、 CMTデジタル、LuneX、そして、ロボットベンチャーズなど名だたるVCから投資を受けています。
あのFacebookに初期投資したピーター・ティールが経営するValar Venturesからも出資を受けているのです。
Vauldが期待されている、またインド市場のポテンシャルの高さが200万ドルもの大型資金調達を成功させたのでしょう。
同じシンガポールでレンディングサービスを提供しているHodlnautは、10万ドルの資金調達をして話題になりましたが、集めた資金はVauldの20分の1の資金規模です。
Vauldが如何に期待されている会社かが資金調達した規模そして、資金を出したVCを見てもも分かるかと思います。
Vauldのサービス
Vauldでは主に下記4つのサービスを提供しています。
- 金利サービス
- ローンサービス
- 取引所サービス
- エンタープライズAPIサービス
1.Vauldの金利サービス
Vauldの利息口座を利用すると、資金を入金するとすぐに、ビットコインやその他仮想通貨の利息を得ることができます。
これがVauldのレンディングサービスです。
入金額に制限はなく、最低入金額は1ドル相当です。
入金され次第、アカウントに即座に反映され、利息は毎日計算されます。
支払いは毎週払い出され、いつでも資金を引き出す事が可能です。
また、資金をロックしてより高い金利を受け取ることも可能となっています。
私もVauldでは資金をロックしてより高い金利で利息を得る運用をしています。
ロック期間は1か月、3か月、または6か月で、オプトアウトに対するペナルティはありません。
オプトアウトすると、預け入れた期間中の固定基本金利を受け取ります。
ロック分の金利は受け取れないですが、基本利息口座分の利息を得ることが出来るということです。
ロック期間でも資金を解除できるのは、柔軟性がありVauldレンディングの特徴の一つだと思います。
他のレンディングサービス会社では基本的にロック期間中に資金を出すことはできません。
また、ロックの場合の利息は、毎週または定められた期間の終わりに複利計算されます。
金利はトークンごとに異なる利息を提供しています。
https://www.vauld.com/rates
金利の高さは他レンディングサービスと比較しても高い部類に入ります。
業界屈指の高APYを誇るYouhodlerやCoinloanと比較しても引けを取りません。
競合のレンディング会社であるYouhodlerとCoinloanについても解説した記事がありますので下記参照ください。
なお、最近Vauldでは多くのトークンが追加され、BSCネットワーク(Binance Smart Chain)にも対応が発表されました。
現在入金にBSCネットワークを使用することはできません。
しかし、出金は可能になったので、ERC20のイーサリアムネットワークよりも数十倍安いネットワーク手数料で出金が出来ることになりました。
Binanceと協力関係にあることから、今後もBSCネットワークとの連携が進んでいくと思います。
2.ローンサービス
Vauldでは、預けた暗号資産を担保として使用することにより、低金利の暗号資産ローンサービスを利用することが出来ます。
ローンは要件を満たせば、即座に承認され、融資を受けることが出来ます。
最大66.67%のLTVを設定でき、追加料金や分割払いはありません。
最小融資額は100ドルです。
ローンは150%を超える担保比率で提供され、担保は100%に達すると清算されます。
ローンを利用する場合は、LTVを意識して借りる、また運用するようにしましょう。
3.取引所機能 INR(インドルピー)取引
Vauldでは板取引を使用したトレードも可能です。
5000万ドル以上の流動性を持っているとしています。
Binanceと提携しているところから、Binanceの取引所のホワイトラベル(Binanceのシステム)を使用しているかもしれません。
すべての預金と引き出しは即座に処理されます。
手数料はメイカーFeeが0%、テイカーFeeが0.05%となっており、世界の取引所と比較しても安いです。
世界トップの取引高、手数料も安いことで知られるバイナンスは0.1%の手数料を取っています。それと比較しても安いのです。
取引所機能を利用するには、基本的にインド人向けのサービスでインド居住者向けのKYCを完了する必要があります。
そして、インド人向けのサービスのため、基本はインドの法定通貨であるインドルピーペア(INRペア)が主流です。
なお、大口用のOTCにも対応しています。
KYCを完了するには別途下記の情報が必要となります。
- 名前、電話番号、メールID
- PANカード(インドにおける納税者番号)
- 住所証明(AADHARカード、投票者IDカード、パスポートまたは運転免許証)
- 写真
KYCが承認されるまで30分かかります。
なお、インド人でなくとも所定の書類を提出することで利用可能のようです。
4.エンタープライズAPI
Vauldでは他のレンディング会社にないユニークなサービスを提供しています。
それが、Enterprise APIの提供です。
ブロックチェーン技術を使用してシステムやサービスを構築するのは容易ではありません。
彼らはそのようなブロックチェーンを使用したビジネスにも活路を見出して、このようなAPIを提供するサービスを始めたのだと思います。
APIがあれば、そこまで深い知識がなくともブロックチェーンを使ったサービスの構築が出来ます。
VauldのEnterprise APIがあれば、すぐに暗号通貨ウォレットを作成、管理できるようになっているのです。
組織全体に対して1つの中央ウォレットを作成、ユーザーごとに無制限のウォレットを作成、さらに、マルチシグニチャウォレットのサポートもAPIで出来るようにしています。
対応しているブロックチェーン及びコインはBTC、ETH、USDC、USDT、TUSD、BUSD、PAX、DAI、XRP、BAT、およびXLMをサポートしており多岐に渡ります。
VauldはAPIを提供しますが、VauldのAPIで作成したウォレットの秘密鍵をVauldは保存しない仕組みになっているので秘匿性も高い仕様となっています。
また、ウォレット作成だけでなく、トークンのトレード機能もAPIで実装されています。
ICOなどを使用したトークンでの資金調達のAPIも実装されており、ブロックチェーン、スマートコントラクトを使用したAPIの提供は本当に多岐に渡っています。
自分で作成したウォレットとVauldのAPIを組み合わせることでVauldの利息も得ることが出来るように実装しています。
VauldのAPIの仕様は下記に詳細が記載されているので参考にしてみてください。
実はインド人が開発している仮想通貨取引所またはホワイトラベルが多いことは業界ではよく知られています。
Vauldもインド人の高い技術力を使ってこういった他では提供していないブロックチェーンのサービスを提供可能としているのだと思います。
Vauldのモバイルアプリ
Vauldではモバイルアプリを使用して資産の管理を行います。
このアプリケーションは、AndroidおよびiOSプラットフォームでも利用できます。
トランザクション履歴を確認し、必要に応じてフィルタリングできます。
私が使用した感覚としては、シンプルで非常に使い勝手が良いです。
今までに大きなトラブルは何も発生していません。
セキュリティ
Vauldのカストディアンパートナーは、業界で最も信頼されているカストディアンであるBitGoです。
また保険サービスは、こちらも世界最高レベルのロイズロンドンで、1億ドルの保険をかけてます。
個人ベースではGoogle Authenticatorを使用して、2段階認証なども可能です。
セキュリティレベルは非常に高いと言えるでしょう。
Vauldサービス料金
すべてのトークンに、最低入金額、取引手数料等の設定がされています。
引き出し申請をした場合、すべての引き出しは即座に処理されます。
引き出し額が$ 100,000を超える場合は、セキュリティを強化するためにVauldのマネジメントクラスが手動で確認されます。
検証は6時間以内に完了するとしています。
Vauldのカスタマーサポート
VauldではWebもしくはモバイルアプリのチャット機能を使うことによって問い合わせが可能です。
また、Twitterで問い合わせやVauldの最新状況を確認することもできます。
VauldにはTelegramオープンチャットもあり、オープンな場で様々な意見がやり取りされています。
テレグラム上で、Vauldの顧客の多くがインド人であることがわかります。
私も一度Vauldで口座開設時に自身のKYCについて、問い合わせをしたことがあります。
私は海外在住で住所証明が少し複雑だったため、規定通りにKYCを実施することが出来なかったのですが、問い合わせをしたところ柔軟に対応してくれました。
まだ顧客がBlockFiやNexoなどと比較して少ないというのもあるかもしれませんが、大手のレンディング会社よりもカスタマーサポートのレスポンスは早く、丁寧だと感じました。
Vauldのカスタマーサポートはレスポンスが早いと言えるでしょう。
Vauldの長所と短所
最後にVauldの長所と短所をまとめておきます。
長所 | 短所 |
金利の高さは業界トップレベル | 他のレンディング会社と比較して新しい会社のため、信頼性が劣るかもしれない |
カストディはBitGo,保険はロイズの最強コンビ | |
カスタマーサポートが丁寧で早い | |
他のレンディング会社にないAPIサービスを提供している | |
インドルピーを所有している場合、トレード機能が便利 | |
名だたるVCから200万ドル近くの資金調達をしている為、期待されている |
私個人としては、名だたるVCから約200万ドルもの資金を調達している事に好感を持っています。
相当ポテンシャルがある会社でない限りこの規模の資金調達は不可能で、ピーターティールやCoinbaseが関連するVCがVauldの将来性に期待していることが伺えます。
競合のNexo、Celsius Network、CoinloanなどはICOで資金を調達していて、レンディング会社ではトークンで資金調達をすることも一般的ですが、VauldはICOでトークンを発行、資金調達していません。
私は個人的にはICOで一般投資家から資金調達するよりも、名だたるVCからしっかりと精査され、将来性を見込まれた上で資金調達されている方が信頼できると考えています。
Vauldは名だたるVCからも将来性を見込まれた成長が期待できる会社と言えるでしょう。
Vauldサービスをおすすめできるユーザ
Vauldはまだレンディング業界では小さい会社のため、1社目のレンディング会社としてはおすすめはできないかもしれません。
既に他のレンディング会社を使用していて、資産分散したいと考えている投資家に資産分散の観点からおすすめできるレンディング会社だと思います。
また、ヨーロッパやアメリカのレンディング会社よりも同じアジアのシンガポールということでビジネスアワーの時差がほとんどない、文化と同じアジア人としての考え方なども近いという点も日本人にはメリットと言えるのではないでしょうか。