日本国内注目のスタートアップ企業であるHashHubが仮想通貨のレンディングサービスを2021年12月末にリリースした。
日本人のスタートアップおよび信頼できる人物が経営しているという点で、著者は2021年春より先行利用している。
今回、筆者が実際にHashhubレンディングを利用している観点からHashhubレンディングのサービスについて記載してみたいと思う。
HashHubの概要
Hashhubは、2018年4月に平野淳也氏、ヨリコ・ビール氏、東晃慈氏の3名によって設立されたスタートアップ企業である。
筆者は2016年に仮想通貨投資を始めて既に6年ほどになるが、その当時からクリプト界隈におけるエヴァンジェリスト的存在であった平野氏と東氏をフォローしている。
2021年に上場企業などが参入し、いくらかマシにはなったが、2016年や2017年当時は、仮想通貨界隈はお世辞にもクリーンな業界とは言えず、詐欺まがいの事柄が多発していた。
(今もそんな変わってないかもしれないが)
そんな魑魅魍魎とした界隈の中で、この二人の発信する内容、ブレない理念などを垣間見て、信頼できる人物だと感じ、彼らの活動を今までずっと見てきた。
そんな仮想通貨界隈における信頼できると感じる二人が2018年に作った会社がHashHubである。左が平野氏、右が東氏。
画像参照:https://n-lio.com/hashhub-1/
なお、2022年現在、東氏は既に会社から去っている。
現在平野氏と東氏が絡んでいる場面はツイッターやYoutubeでもほぼ見当たらない。
どういった経緯で東氏が経営から外れたのかは定かではないが、現在では平野氏が経営陣としてHashhubを経営されている。
HashHubのサービス
Hashhubは2018年4月に創業。
会社所在地は、東京都文京区本郷3–38–1本郷信徳ビル7階。
資本金は980万円で、事業内容は、プロダクト開発、リサーチ・コンサルティング、ブロックチェーン特化型コワーキングスペース運営としている。
2018年7月にブロックチェーン特化型コワーキングスタジオとして、Hashhubコワーキングスタジオを開設。
また同年10月に日本国内の仮想通貨ウォレット開発を手掛けるフレセッツ株式会社と共同でブロックチェーンエンジニア講座を開業、11月にはブロックチェーン領域の創業初期企業のためのシードスタートアッププランを開始している。
2020年に法人向けにHashhub Business、個人向けにHashHub Researchのサービスを開始している。
2021年よりHashhubレンディングのサービスを開始。同年12月末に正式リリースされている。
以上がHashhubのこれまでのビジネス展開内容である。
Hashhubのサービスは大きく分けて以下3つに分かれると言えるだろう。
- Hashhubレンディング
- Hashhubリサーチ
- Hashhubコワーキングスペース
1.HashHubレンディング
Hashhubレンディングは、仮想通貨を預けることによって利息を得ることが出来るサービスである。
2022年現在時点でBTC,ETH,DAI,USDCの4つの仮想通貨で利息を得ることが出来る。
私が考えるにHashhubレンディングには4つの魅力がある順に紹介していきたい。
1.Hashhubレンディング最大の特徴は、高金利であること
日本の金融庁から交換業のライセンスを付与され規制された仮想通貨取引所であるBitbankやGMOコインなども利息サービスを提供している。
しかし、Hashhubよりも数倍も低い金利でサービスが提供されている状況である。
そういった会社と比較して、Hashhubの高金利は非常に魅力的に映る。
また世界の仮想通貨レンディングサービスを提供している会社比較しても引けを取らない、もしくはトップレベルである。
業界屈指の高APYを誇るYouhodlerやCoinloanと同レベルの高金利を提供しているのである。
金利比較については下記サイトにてまとめているので参考にして頂きたい。
2.毎月自動更新され、解約手数料は発生しない
Hashhubでは高金利にも関わらず、資金ロックをする必要はない。
毎月自動で利息が預けた口座に追加され、複利で預金を増やしていく事が可能だ。
同じレンディング会社のZipmexなどは自動で更新されない。手動で定期的に設定をする必要がある。

3.金利は毎月市場の動向に合わせて、改変される
Hashhubの金利は月単位で変動される。
変動しない月もあれば、改善(金利が上がる)されることもある、改悪(金利が下がる)されることもある。
改悪は人によっては、印象が悪いかもしれないが、筆者としては市場動向をしっかり見極めて設定されており、好感を持っている。
海外の大手BlockFiやNexoなども市場動向に合わせて頻繁に金利を変更している。逆に全く金利を変更しないで高金利を続けている業者もいる。
市場動向を見極めて金利を調整している点はHashhubが信頼できると感じる一つの理由ともいえるだろう。
なお、金利変動は月が始まる前に前もって連絡をしてくれるため、自分が納得のいかない金利であれば、即引き出し申請を行うことも可能である。
なお、実際の引き出しについては、引き出し申請から翌月末に実行される仕様となっている。引き出し申請をしている期間も預けている利息は払い出される形になるが即引き出しが可能ではない為、注意が必要である。
4.金利サービスを提供しているのが4通貨のみ
Hashhubで金利サービスを受けることが出来るコインはビットコイン、イーサリアム、DAI,USDCの4つのみである。
4つしか対応していないというのは他のレンディング会社と比較して非常に少ない。一見デメリットのようにも映るかもしれない。
しかし、筆者はこの4つしか対応してない点も好感を持っている。
なぜなら、この4つの仮想通貨は数千ある仮想通貨の中でも信頼が出来る仮想通貨であるからだ。
特にUSDTで利息サービスを行っていない点は好感を持てる。
USDTはステーブルコインの中で一番の時価総額を誇る一番使われているステーブルコインであるが、裏付け資産が本当にあるのかどうか疑わしい。
USDCも2021年夏まではUSDTと同じようにコマーシャルペーパーなどを裏付け資産としていたが、現在はより現金に近い資産で裏付けされている。
また毎月アカウンティングファームが監査しレポートを公表している。

USDTは毎日裏付け資産をアップデートしてはいるが、監査機関などの情報はなく、信頼性に乏しい。
USDTに限らず、XRPやその他対応すれば需要があるコインは多いだろう。
しかし、こういった信頼できる4コインのみ対応している点も信頼できる点だと感じている。
なお、現状4通貨のみだが、今後SOL(ソラナ)などが追加されることもあるだろう。
市場のニーズや重要な仮想通貨はおそらく追加していくことが予想している。
2.HashHubリサーチ
Hashhubでは専属のリサーチャーが業界の最新動向を追って会員向けに記事をリリースしている。
仮想通貨、ブロックチェーン業界は移り変わりが非常に激しい。
そして、業界のトップトレンドは海外のため、最新動向は英語が一般的だ。
また、ブロックチェーンの技術は非常に奥が深く、理解しがたい。
そんな中で業界のトレンドをいち早くリサーチし、日本語にまとめてくれるサービスは皆が欲しがっていた。
Hashhubリサーチの記事は、質も高く、業界からも好評である。

3.HashHubコワーキングスペース
Hashhubが一番初めに始めたビジネスがコワーキングスペースだ。
筆者は海外在住であるが、もし日本に在住し日本で起業していたらぜひ利用したいと考えている。
HashHubレンディングのシステム利用について
Hashhubレンディングは、2021年12月に正式リリースされた。
正式リリース前はKYCなしでも利用できたが、現在はKYCが必須のため、身分証明を行う必要がある。
KYCはeKYCで行われ、AIの画像認証が使われていると思われる。
現時点でモバイルアプリはなく、Webのみで管理可能だ。
筆者はiOSを使用しているが、Webサイトの情報をホーム画面にブックマークし利用している。
モバイルアプリ化はされていないが、モバイル対応はされているので携帯からも普通に使える。
ログインはメール、パスワード、2FAでログインが出来る。
まだモバイルアプリが出来ていない点は残念な点ではあるが、出来たばかりなので仕方ないだろう。
システムのUI,UXも非常にシンプルで使いやすい。
特に何も問題なく使用できており、大きな問題はない。
Hashhubレンディングのセキュリティ
Hashhubレンディングのセキュリティは、BitGoを使用している。
BitGoは業界トップレベルのカストディサービスを提供している会社だ。
コールドウォレットのセキュリティレベルは、世界のレンディング会社と比較して、非常に高いと言えるだろう。
なお、貸出資産の保険についてはHashhubのNoteにて下記記載があったので参考にしてほしい。
当社が倒産時に債務不履行になる可能性がございますが、現時点ではその場合においても貸し出し資産について保険が適用されません。
HashHubレンディングでは一部待機資金の保管にBitGoのカストディを使用しています。Qualified Custodyサービスは、銀行レベルの鍵管理セキュリティ、最大1億ドル(約105億円)のデジタル資産の保険が付帯していますが、全期間において全額をカストディに保管しているわけでありません。
当社調べではございますが、一般的に貸し出し資産に全額の保険が適用されるレンディングサービスは世界でも2021年4月現在存在していないと認識しています。一部資金をカストディに保全をして、その対象分を保険適用されていると主張されているサービスはございますが、全額が保険適用されるわけではない類のものとなっております。
カストディサービスおよび保険は世界トップと同等レベルと言って良いだろう。
HashHubレンディングのカスタマーサポート
Hashhubではカスタマーサポートがおり、何かあった際に問い合わせを行う事が可能だ。
世界のレンディング会社で日本語で対応してくれるカスタマーサポートは皆無だ。
世界トップのBinanceは,日本人の資金を多く預かっている関係上、日本人カスタマーサポートを用意して日本語でも対応可能にしているが、基本的には何か問題が起こった時は英語での問い合わせが業界標準である。
問題が起こった時などに英語での問い合わせが不安という方に、日本語で問い合わせが出来るのは非常に安心できる点だと思う。
HashHubレンディングのリスク
今までHashhubの良い点を挙げてきたが、リスクについてもしっかり記載したいと思う。
私が考えるHashhubのリスクは3つある。
- 預かり資産運用方法が不明
- 会社規模が小さい
- 人(エンジニア、カスタマーサポート)が少ない(だろう)
1.どのような形で預けた資産の利益得ているかの詳細は記載されていない
Hashhubレンディングのホームページには、下記の記載がある。
HashHub Lendingでは、リスクコントロールに最大限の注意を払いつつ、アービトラージ・第三者への貸し出し・ステーキング・DeFiを含んだ様々な暗号資産の活用を行う方針
純粋な貸し出し、借り入れによる利息差分だけでなく、DeFiやアービトラージで運用を行っているとも取れる。
しかし、具体的な利益を得る方法が記載されていないのである。
具体的な利益の方法を提示しない事は海外のレンディング会社と比較しても普通ではあるが、DeFiでの運用は筆者は個人的にリスクが高いと考えている。
筆者がHashhubレンディングのスマートコントラクト トランザクションを確認したところ、FTXに一部流れている事は確認出来た。
FTXから先のトランザクションは確認できないため、運用がどうなっているかは不明ではあるが、FTX関連のビジネスもしくはSolana上で運用されているのかもしれない。
難しいとは思うが、どれくらいの割合でどのように運用しているかを把握出来れば尚よいだろう。
2.会社規模が非常に小さい
Hashhubは2018年設立で資本金1,000万未満のまだ出来たばかりの会社だ。
そして、筆者が情報を追った限りではまだどこからも大型の資金調達をしていないと思われる。
会社規模が小さいにも関わらず、預かっている資産は資本金の何倍もあると思われる。
もし、ハッキングや何かしらの損害が発生してしまった場合、残念であるが倒産してしまい顧客資産が返ってこない危険性も高いだろう。
3.人(エンジニア、カスタマーサポート)が少ない
これは推定だが、まだ会社が小さい為、エンジニア、カスタマーサポートの人員が少ないと思われる。
2021年Hashhubレンディングの正式リリースは春、夏、年末と遅延してきた。セキュリティ対策に時間をかけたにしても時間が掛かり過ぎてしまった感は否めなかった。
スタートアップ会社で、大型資金調達もしていないため、仕方ない部分ではあるが、今後何かしらの問題が起こった時にシステム改修やカスタマーサポートのレスポンスが迅速に行われるかは微妙かもしれない。
今後大型調達や業務拡大に伴って解消されていくとは思うが筆者が現時点で考えるHashhub特有のリスクは以上である。
筆者は、リスク以上に金利が高い事、また同じ日本人の期待できるスタートアップのため応援したいという2点で利用している。
HashHubレンディングレビュー:長所と短所
長所 | 短所 |
日本国内で一番の高金利、世界と比較しても引けを取らない | 会社の規模が他レンディング会社と比較して、非常に小さい |
Webサイトは完全日本語。カスタマーサポートも完全日本語対応 | モバイルアプリがない |
金利は市場の状況に合わせて毎月単位で更新されている | |
カストディと保険サービスは世界トップレベル |
競合のレンディング会社であるYouhodlerとCoinloanについても解説した記事は下記の通り。


世界と比較してもHashhubは高金利と言えるだろう。
Hashhubレンディングをおすすめできるユーザ
Hashhubは今はまだ非常に規模が小さい会社である。
しかし、日本が世界に誇るレンディングサービスを提供する会社になる可能性も秘めていると筆者は考えている。
筆者と同じように、同じ日本人の会社として応援したい気持ちがある投資家におすすめの会社と言えるかもしれない。