レンディング業界の超新興であるNebeusについて記載します。
Nebeusのサービスは、まだ始まったばかりで顧客はあまりいません。
おそらく日本人で利用している方もほとんどいないでしょう。
私は、個人的に高金利である点が良いと考え、分散投資としての一つとして資産を預けています。
実際に筆者が使用している観点からメリット、デメリットを記載していきたいと思います。
Nebeusの概要
Nebeusは、2014年にSergey Romanovskiyによって設立されたロンドンとバルセロナを拠点とするフィンテックの新興企業です。
レンディングのサービスを始めたのは最近のため、レンディング会社としては新興企業となります。
2014年に設立されましたが、大きな活動はしておらず、大規模なソーシャルメディアもなく、投資家からのレビューもほとんどない会社でした。
そして、2020年からレンディング事業を始めて、2020年だけで60,000人以上のユーザーを獲得しました。
そして、2021年には10万人近くの利用者がいると公表しており、急成長を遂げた企業となっています。
会社は、スペインの商業登記所に登録されていて、主にスペインがNebeusのビジネス活動拠点のようです。
NebeusのWebサイトでは、英語、スペイン語、ドイツ語に対応しており、ヨーロッパが主な顧客であることがWebサイトの対応言語からもわかります。
2018年にNebeusは、クラウドファンディングで110万ポンド(約1.5億円)を資金調達しました。
また、2021年にはFinanceMonthly Fintech Awards2021で「Digital Lending Innovation」のグローバルアワードを受賞しています。
Nebeusは、英国とEUのすべての規制に準拠していて、彼らが提供できるサービスを改善するために2021年にEMIライセンスを取得しています。
Nebeusの企業理念は、銀行口座を持たない人たちへ暗号通貨を通して金融サービスを提供することを目的としています。
世界には携帯電話を持っている人は50億人いますが、銀行口座を持っていない人は17億人です。
これらの人々の多くは銀行を使うことが出来ない、それでもお金へのアクセスを必要としています。
Nebeusは、こういった銀行口座を持たないような方たちを顧客対象としているようです。
Nebeusの主なサービスは下記4つです。
- Crypto Renting(金利サービス)
- Crypto-Backed Loans(個人投資家と機関投資家向けローンサービス)
- Cryptocurrency Exchange(交換機能サービス)
- Cryptocurrency Insurance(保険サービス)
順に紹介していきます。
1.Nebeusの金利サービス
Nebeusでは金利サービスを提供しています。
預けた資金をNebeusが債務者または機関投資家へローンをすることによって報酬を得る仕組みです。
金利サービスを利用できる通貨は下記4つのみです。
- Crypto:BTCとETHのみ
- ステーブルコイン:USDTとUSDCのみ
利用できる通貨は、他のレンディング会社と比較すると非常に少ないです。
業界で最も少ないうちの一つと言っても過言ではないでしょう。
同じように対応するコインが少ない会社としては、日本のHashhubやカナダのLednがあります。
この3社に共通するのは、まだサービスを始めたばかりで会社の規模も小さいということでしょう。
今後成長に応じて、対応するコインも増えていくことを筆者は期待しています。
なお、Nebeusで利息を得る特徴としては、預けるだけでは利息を得ることはできず、資金をロックする必要があることです
クリプトとステーブルコインでサービスが分かれており、1か月と3か月から選択できます。
クリプト(BTCとETH)
BTCとETHのクリプトで利息を得るには2つのオプションがあります。
2つのオプションは次のとおりです。
- Juniper–最低0.0025BTCまたは0.03ETHを1か月以上レンタルして、年間APY3.5%。
- Sequoia–最低0.12BTCまたは3ETHを4か月以上レンタルして、年間APY6.75%。
金利は一か月毎に払い出されます。
ステーブルコイン
USDTとUSDCのステーブルコインで利息を得るには2つのオプションがあります。
2つのオプションは次のとおりです。
- Bonsai–最低50USDTまたは50USDCを1か月以上レンタルして、年間APY6.5%。
- Baobab–最低1000USDTまたは1000USDCを4か月以上レンタルして、年間APY12.85%。
クリプトのオプション同様に、金利は一か月毎に払い出されます。
Baobabのサービスの”4か月ロックして、ステーブルコイン12.85%の金利”はステーブルコインでは業界一番の高金利です。
筆者がNebeusに預けている資産は他のレンディング会社と比較して、最少額ではありますが、このBaobabサービスを使用し、資金を4か月ロックして使用しております。
Baobabを使えば、業界トップレベルで一番の高金利でステーブルコインを運用できています。
2.Nebeusのローン(借入)サービス
Nebeusでは、仮想通貨を担保としてローンを得ることが出来ます。
借り入れには、2つのオプションを提供しています。
- クイックローン。即時借り入れることが出来るローン
USD,GBP,EURの法定通貨、USDT,USDCのステーブルコインが対象
借入期間は3か月。最大500EURまで。利息なし
- Flexibleローン。
条件を選択して預けた仮想通貨の価値の最大80%を借りることが出来るローン。
ローンの仕方
Nebeusアカウントを開設すると、次の3つのステップでローンを取得できます。非常に簡単です。
- Nebeusのアカウントに仮想通貨を送金
- ローンプランを選択
- 法定通貨もしくは仮想通貨を借りる
借入料金
- クイックローン:3か月間、50%のローントゥバリューと0%の利息。
- 柔軟なローン:最大80%のローン・トゥ・バリュー、金利、および最大36か月間最大250,000ユーロの借入。
ローンの料金は、同じヨーロッパでレンディング会社をしているYouhodlerやCoinloanなどと似ています。
業界屈指の高金利を提供しているヨーロッパの競合であるYouhodlerについては下記を参照ください。
また、エストニアの金融当局からライセンス付与されている同じく競合のCoinloanを解説した記事はこちらです。
3.取引所機能
Nebeusでは取引所機能も備えています。
Nebeus上でのトレードでは、最大0.35%の手数料を取るようです。
手数料だけをみると一見安そうですが、基本的には販売所扱い、高額な見えない販売手数料があるはずなのでおすすめはできません。
筆者はレンディング会社でトレード機能を使った事はありませんが、どうしても使用しなければならないという場合を除き、隠れた手数料が発生し、割高レートで決済されるので使用するのは止めておきましょう。
4.Nebeusの保険サービス
Nebeusでは業界トップレベルのBitGoとカストディ契約しています。
保険はこちらも世界トップレベルのLloyds of Londonと契約。
セキュリティと保険は世界最高レベルのサービスを使用しています。
BitGoのセキュリティおよびコールドウォレットは、銀行グレードと同様の安全なコールドストレージです。
そして、ロイズオブロンドンによって最大1億ドルの保険がかけられます。
ただし、保険は機関投資家のみで、一般ユーザは保険を買わなければならないとしています。
これは他のレンディング会社と異なる点です。一般投資家は保険の対象外となっているようです。
一般投資家が保険に入りたい場合、月額サービスを利用する必要があります。
Nebeusは、Lloyds of Londonが保証する、リスクから暗号を保護できる2つのオプションを提供しています。
- Nebeusに預けている1つの暗号通貨を対象とした保険サービス:4€/Unit Service。
- Nebeusに預けているすべての資金を対象にした保険サービス:6,90€/Full Service。
正直、Nebeusの保険サービスは一般投資家を対象にしていない点は残念な点だと思います。
ただし、他のレンディング会社も保険には入っていますが、万が一保険額を超えるハッキングや何かしらの損害が出た場合は、お金は返ってくる保証はありません。
また、どの程度保険がカバーできるかも不明です。
私個人としては、大手のレンディング会社の保険もNebeusの一般投資家の保険対象外も大差ないと思っています。
ハッキングや何かしらの存在が出た場合、すべての資金が戻ってくるとは限らないと考えておいた方が賢明でしょう。
よって、極論ではありますが、保険に入っていようが入っていないようが大きな差はないと考えています。
もちろん入っておいた方が安心ではあるので、保険に入りたい場合は月額のロイズの保険サービスを使用するのが良いとは思います。
預金、送金方法
Nebeusは、多種多様な送金チャネルを提供しています。
これがNebeusの強みの一つでもあるようです。
とくにFiat(法定通貨)に対して多くのチャネルを用意しています。
現在、150か国以上に現金を送金するオプションを提供しており、世界中でサポートされている500を超える携帯電話事業者とのモバイルトップアップを提供しています。
23万以上の小売店と郵便局で送金と預金をすることを可能にしています。
そして、VisaまたはMastercardを使用して送金も可能で、資金は即座にアカウントに入金されるとしています。
手数料は下記の通り。
- VisaまたはMasterCardから直接送金します。1回の取引あたり2.90%が課金。これは、他のほとんどのレンディング会社のプラットフォームの標準レートです。
- 無料のSEPAデポジットも受け付けており、送金には7ユーロまたは1%の手数料がかかります。
Nebeusのフィアット出金機能
Nebeusでは法定通貨の出金も多種多様に用意されており、150か国以上に転送できるとしています。
150か国は凄いですね。
ほぼすべての国へ銀行送金が可能だと思います。
- 送る最低額は5€
- 送金できる最大金額は1回の取引あたり3500ユーロ
- 振込手数料は2.8%
SEPA圏内(ユーロ決済圏)の送金/引き出しは、最低7ユーロで1%の手数料で使用することもできます。
なお、SEPAのデポジットは無料です。
スペイン、イギリスを拠点にしているだけあり、ヨーロッパ圏での入金、出金は非常に便利と言えるでしょう。
Nebeusのカスタマーサポートについて
現在、Nebeusで利用できるチャットサービスはありません。
NebeusのアプリもしくはWebでヘルプリンクをクリックすると、ナレッジベースにリダイレクトされ、チケットを送信するためのリンクが表示されます。
メールベース、チケットベースでの問い合わせとなります。
チャット機能はありませんが、チケットベースの問い合わせでもNebeusのカスタマーサポートの対応は迅速だと思います。
私自身、口座開設前に何度かやりとりをしたのですが、即レスポンスがあり、対応も良かったです。
お客さんがそこまで多くないため、問い合わせも少ないからかもしれませんが、カスタマーサポートのレスポンスは他のレンディング会社と比較しても良いと感じています。
なお、Nebeushaツイッターでも活動しており、まだ2000フォロワーしかいません。
これはレンディング業界でも最も少ないフォロワー数だと思います。気になる方はフォローしておくと良いでしょう。
Nebeusのモバイルアプリ
NebeusではモバイルアプリとしてAndroidとiOSが用意されています。
なお、アプリは2021年の8月にリリースされたばかりで本当にまだできたばかりです。
2FAや最低限のセキュリティなどは備えていますが、お世辞にも使いやすいアプリではないです。
モバイルのネイティブ言語で開発したように思えず、HTMLで作ったような動作が遅い感じのアプリです。
モバイルアプリをリリースしていないレンディング会社もあるので、アプリ上で資金管理でき、アプリをリリースしているだけマシだと考えています。
NebeusのモバイルアプリのUI,UXの改善は、今後に期待したい点です。
Nebeusの長所と短所
最後にNebeusの長所と短所をまとめておきます。
長所 | 短所 |
ステーブルコインの4か月ロックでAPY12.85%は業界トップレベルの高金利 | 新しい会社のため、他レンディング会社より信用力、財務力が弱い |
銀行口座と連携した送金、出金が豊富 | 保険は機関投資家のみで、一般ユーザは保険を買わなければならない |
カスタマーサポートの対応は早く、柔軟 | 新しすぎてお客さんがいない。レビューなどがほとんどない |
SEPAでの銀行送金対応 | 金利を得られるコインはBTC,ETH,USDT,USDCの4つのみ |
正直、他のレンディング会社と比較してデメリットの方が多いと思います。
私は分散投資の一つとして、また高金利のためNebeusを利用していますが、初めてレンディングサービスを使用する人には決しておススメはできる会社ではないかもしれません。
ただし、まだサービスが始まったばかりなので、これからサービス拡張されていくと期待もしています。
Nebeusをおすすめできるユーザ
既に多くのレンディング会社を使用しており、分散投資先の一つとして考えているユーザにはおすすめできるかもしれません。
また、ヨーロッパを拠点としており、SEPA送金に優れている為、ヨーロッパ在住の方にも適しているレンディング会社と言えるでしょう。
私個人としては、まだ始まったばかりのため、これからユーザも増えて、利用できるコインやサービスなども増えてくると期待したいと考えています。