仮想通貨レンディングサービスを提供しているYield Appについて記載します。
Yield Appは、私が今まで紹介したCeFiのレンディングサービスとは異なり、CeFiでありながら、DeFiのサービスを提供しています。
CeDeFiというサービス会社というのが正しいのかもしれません。
私はこのYield Appが提供するCeDeFiのサービスを、2021年4月からYield Appの利息サービスを使っています。
実際にYieldAppを使用している観点から、メリット・デメリットを記載していきたいと思います。
YIELD Appとは
YIELD Appは、2020年にアメリカ カリフォルニアでTim Frostによって設立された会社です。
CEOのTim Frostは、WirexでBusiness VPや香港の投資銀行で取締役を務めた経験があり、金融系のバックグランドを持った人物です。
YIELD Appは、2021年のアプリリリース以来、70,000人を超えるユーザーを獲得しています。
Yield Appのプラットフォームで管理される資産は、4億ドル以上となっており、注目されるサービスを提供しているまでに成長しています。
ユーザーや管理されている資産は下記で公開されており、2週間毎にアップデートされています。
また、Yield Appは、クリプト系企業、VC、アドバイザーなどの多くの会社とパートナー契約を結んでいます。
クリプト業界の有名どころでは、SmartLock搭載したことで知られるTrust Swapやブロックチェーンで本人確認を可能にしたBlockPassなどでしょう。
YIELD Appが保持するライセンス
YIELD Appは、アメリカのカリフォルニアに本社を置く企業ですが、ヨーロッパを中心に金融ライセンスを取得しています。
エストニアでは、登録番号16099555で仮想通貨のプロバイダーライセンスを取得しています。
なお、同じくエストニアでライセンス付与されて営業しているレンディング会社としては、Coinloanも有名です。
Yield.Appよりも知名度で言えばCoinloanの方が上でしょう。
また、セーシェルでは有限責任法人が登録されています。
YIELD Appの仕組み
Yield Appでは顧客から資金を預かり、預かった資産に対して利息を顧客へ払うビジネスモデルを提供しています。
レンディング会社であれば、預かった資産は、ローンで個人投資家や機関投資家へ貸し出すのが一般的です。
よって、レンディング会社では利息を得られるサービスと合わせてローンを組めるサービスも提供しているのが普通なのです。
しかし、Yield Appではローンサービスを提供していません。
なぜなら、Yield Appでは預けた資産をDeFiで運用しているからです。
よって、YieldAppに資金を預けた場合、それはDeFiに投資して運用している事と同じことになるのです。
CeFiでありながら、DeFiに投資するCeDeFiのサービスを提供している会社と言えるのです。
Yield Appでは、顧客の資金を集約し、その資金をYield Appが選別したDeFiを使用して利益を得ています。
イーサリアムなどのDeFiはガス代が高額で個人でDeFiを運用する場合、ガス代負けすることが多いです。
Yiled Appではこういった個人では難しいDeFi運用を資金を集めることによって可能にしているのです。
そして、投資資金は$ 100からの少額資金での利用が可能です。
イーサリアムでは100ドルではガス代だけで終わってしまうような金額ですが、小額投資も可能にしているのです。
具体的にどのDeFiで運用されているのかは、公表されておらず定かではありません、一つのDeFiだけでなく多様なDeFiプールで運用しているとしています。
YLD Appの利息サービス
Yield Appでは、ビットコイン、イーサリアム、USDTなどの暗号通貨資産を預け入れ、投資したい金額を選択し、毎日報酬を得ることが出来ます。
これがYield Appの利息サービスです。
YIELDアプリでサポートされているトークン
Yield Appで利息サービスを利用できる仮想通貨は、6つあります。
- BTC
- ETH
- USDC
- USDT
- DAI
- YLD(Yield Appの独自トークン)
対応している仮想通貨は6つのみで、信頼できる仮想通貨のみ利用しているとも取れますが、これは他のレンディング会社と比較しても少ないことはデメリットかもしれません。
Yield.Appの金利
Yield Appで得られる金利は下記の通り
- BTC,ETHの仮想通貨 4%
- ステーブルコイン 9%
この金利は高くもなく、低くもない数値と言えるでしょう。
BlockFiやNexoも同じような金利を提供しています。
APYの基準値は低いのですが、金利はYIELD Appの独自トークン(YLD)の保持量に合わせて増加させることが出来ます。
保有量に合わせたYLDメンバーは下記のように4つのメンバーに分けられています。
メンバー | YLD保有量 | APY |
Bronze | 0から999YLDまで | 増加なし |
Silver | 1000YLD以上9999YLDまで | 一律1%増加 |
Gold | 10000YLD以上19999YLDまで | 一律2%増加 |
Diamond | 20000YLD以上 | 一律3%増加 |
また、金利をすべてYLDトークンで受け取る場合はさらにAPYを上げることが出来ます。
YLDをDiamondメンバーまで保有しステーブルコイン運用でYLDで受け取る場合、最大18%まで金利を上げることが出来ます。
現在DeFiでステーブルコイン運用の場合、10%以下が多いのでステーブルコインで18%のAPYは自分でDeFiで運用するよりも高金利と言えるでしょう。
なお、最新の金利は下記Yield Appのホームページからも確認できます。
YLDトークン
YLDトークンはERC20規格のイーサリアムネットワークで発行されたユーティリティトークンです。
総供給量は3億YLDで現在市場では約半分の1.5億YLDが出回っています。
YLDがトレードが出来る取引所は、Bittrex、AscendEX、Gate.io、Kukoin、Uniswapなどです。
まだ、BinanceやFTX、Huobiなどの超大手取引所では上場されておらず、取引されていません。
YLDトークンは、先に説明した利息のAPYを上げる以外に今後リワードプランやその他の機能を実装する予定としています。
2021年に出来たばかりなので大手取引所で取引できないのは仕方ない部分であり、今後YieldAppの成長次第で、大きな取引所に上場を期待できるコインとも言えるかもしれません。
まだ、大手に上場していないことは、値上がりのポテンシャルが高いコインと言えるかもしれません。
YIELDアプリスワップ
YIELD Appではスワップ機能も提供しています。
主に預けたステーブルコインをYLDトークンと交換できる機能です。
利息口座のAPYを上げるためにYLDを取得したい顧客のために作られた機能ですが、現在では、YLDのみならず、ビットコインを使用してスワップできるようにもなっています。
スワップサービスは、YLDを購入したいユーザには良い機能と言えるかもしれません。
YIELD.Appのサービス料金
基本、Yield Appの利息口座を使う上でサービス料金は発生しません。
しかし、引き出し時に20ドルの出金手数料がかかります。
BlockFiやNexoは所定回数無料としているので、他サービスと比較するとデメリットの点と言えそうです。
ただし、イーサリアムの送金手数料を考えると、ぼったくり設定などではなく、20ドルの出金手数料は良心的な価格設定だと思います。
YIELDアプリについて
YIELD Appでは基本Webサイトで資産を管理します。
iOSとAndroidも開発中ですが、まだ正式にリリースされていません。
Webサイトはモバイル対応されており、UI,UXはモバイル化されているレンディング会社よりも使いやすいです。
なので、モバイルアプリがないということが大きなデメリットとは言えないでしょう。
なお、モバイルアプリがないのは、日本のHashhubとレンディングと同じです、HashhubもYield Appと同じようにモバイル対応化されているので特に問題なく携帯でも使いやすいです。
モバイルアプリがない点はデメリットではありますが、使い易いモバイル対応されているので大きな問題とは言えないでしょう。
YIELD.Appのセキュリティ
Yield AppではBitGoとカストディサービスの契約をしています。
また、保険はロイズで1億ドルの保険をかけています。
保険の対象は、BitGoが管理しているウォレットを対象としています。
下記の場合に、保険が適用されます
- 秘密鍵がハッキング、または盗難されて資金が奪われた場合
- BitGo内部犯行によるハッキングまたは不正行為
- 秘密鍵の紛失
カストディはBitGo、保険はロイズのため、世界最高レベルのセキュリティ対策を取っていると言えるでしょう。
ただし、保険についてはあくまでお守り程度に考えておいた方が無難です。
Yield AppではDeFiで運用しているので、DeFiで盗難された場合は保険の対象となるかは微妙だと思います。
これは、他のレンディング会社にも言えますが、ハッキングや何かしらの大きな損害があった場合は、保険が全て適用されるわけではないことを認識しておく必要があります。
Yield Appのセキュリティについては、下記ページにて詳細が記載されています。
YIELD App V2のリリース
Yield Appでは新しいV2のアプリのリリースを予定しています。
V2は2022年1月18日にリリース予定です。
V1からV2への大きな変更点としては、下記のとおりです。
- Binance Smart Chain上でのDeFi運用
- セキュリティをさらに強化
- スワップ機能の増強
- YLDトークンの機能追加など
この記事を執筆時点でまだV2のリリースがされていないため、リリースされ実際に触ってレビューを追加したいと思います。
個人的に、BSCでのDeFi運用とセキュリティの強化に期待しています。
Yield Appの長所と短所
最後にYield Appの長所と短所をまとめておきます。
長所 | 短所 |
YLDの保持量があればステーブルコインの利息が業界最大まで上げることが可能 | DeFiで運用している為、リスクはDeFi運用と同程度 |
少額でDeFiを利用できる | 使用できる仮想通貨が少ない |
CeFiとDeFiどちらがリスクが高いのかは意見が分かれるところだと思いますが、私個人としては、DeFiの方がリスクが高いと思っています。
なぜなら、2021年のDeFiハッキングの総額は取引所よりもCeFiサービスよりも高かったからです。
ただし一方で、DeFiの方がより高いAPYを提供している事が多い為、DeFiにはCeFiにはない魅力が多いとも思います。
そういった点でYield Appは魅力的に映るかもしれません。
また、YLDを保持していれば、業界屈指の高APYを誇るYouhodlerと比較しても引けを取らない、もしくは勝っている点も魅力と言えるでしょう。
Yield.Appをおすすめできるユーザ
Yield AppはDeFiに投資したいけれど、少額しか投資出来ないユーザなどに適していると思います。
また、まだ出来たばかりで2022年1月にV2がリリースされる予定です。
今後ユーザーが銀行振込やデビットカードを介して資金を入金できるようにするFIATゲートウェイやYiledAppのデビットカードなどの開発にも取り組んでいく予定としています。
Yield Appは、これからも成長が期待されるCeDeFiのサービスを提供している会社と言えます。
Yield Appの成長次第では、YLDトークンはCrypto.comのCROトークンのように大化けする可能性もあるかもしれません。
なので、YLDトークンを保持しつつ、仮想通貨を預けてHodlし、金利を受け取りながら上昇を待つという戦略も良いかもしれませんね。
私は、資産分散の観点からYield Appを利用しています。
既にほかのレンディング会社を使用している人が、分散投資としてYield Appに資金を預けて運用するのも良いのではないでしょうか。